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症例集詳細
高カルシウム血症の犬の1例
チワワ ♀ 避妊済み 8歳齢 BW2.3Kg。
2日前から食欲廃絶、今朝嘔吐が見られた。
一般身体検査では元気消失以外特に異常は見られない。
体表リンパ節の腫大は見られず。
発熱、関節の痛みもなし。
エコー検査
腹腔内に腸間膜リンパ節と思われるエコー原性の低い 腫瘤を確認。
腹腔内に腸間膜リンパ節と思われるしこりが存在し、臨床症状から消化管リンパ腫などが疑われた
ため血液検査を行ったところ、CRP上昇とともに高Ca血症(16㎎/dl↑)が認められた。
元気・食欲の消失・嘔吐は高Caが原因と考えられた。
第1~第2病日は生理食塩水の点滴、制吐剤、利尿剤の投与を行った。
外注検査を依頼依頼。
PH 7.922
イオン化Ca:1.68mmol/l (1.24~1.56)
Intact-PTH:7.9pg/ml (8.0~35.0)
PTH-rp:8.2pmol/l (0~1.5)
PTH低下とPTH‐rpの上昇から腫瘍性高Ca血症が疑われた。
Ca値が11.1㎎/dlまで低下したのでプレドニゾロン1mg/Kgを接種した後、一旦退院とした。
第4病日に元気・食欲ともに普通に戻り、Ca値も10.1mg/dlと正常になり、腸リンパ節も20㎜から
13㎜に縮小が見られたが、第7病日には再び23mmに拡大した。
①腸リンパ節と思われるしこりは原発病巣とは考えにくく、他の部位からの転移あるいはリンパ腫
が疑われる。
②確定診断しないと治療方針が立たない。
③確定診断には組織のバイオプシーが必要。
④腹腔内のしこりの精査には開腹が必要であり、また他の部位も確認する必要がある。
⑤診断には全身の精査としてCTが有用と思われる。
以上の事情により岐阜大学にCT検査を依頼することになった。
CT検査では右内側咽頭後リンパ節他数か所のリンパ節が腫大しており、右内側咽頭後リンパ節に対して18Gエースカット針にてコア生検を行った。
診断名:High Gradeリンパ腫
リンパ球クロナリティ解析:T細胞性
T細胞性High Gradeリンパ腫に対して化学療法を行うことになり、選択としてはCCNUプロトコールが勧められた。
まずCCNU60㎎/m2からスタートすることになり顆粒球の減少、血小板の減少などは認められるものの一般症状は良好に推移していたが、徐々にCCNUの効果が減退し、L-Aspも併用してみたが、胸水の貯留とともに一般状態も悪くなっていき3週毎計7回のCCNU投与ののちに亡くなられた。
高カルシウム血症は重篤な疾患である可能性があります。臨床症状があいまいなところもあるため、十分な検査が必要です。T細胞性リンパ腫は抗がん剤の利きにくいリンパ腫ですがこの子は充分頑張ってくれました。家族の方も献身的に介護していただいており頭が下がる思いです。ご冥福をお祈りいたします。
こうべどうぶつクリニック
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