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症例集

症例集詳細

オーバーラップ法による口蓋裂整復術

2016.09.07

症例1

パピヨン オス 6ヶ月齢  BW2.0K

去勢手術の相談で来院

健康診断で、かなり広範囲な二次性口蓋裂を発見。

神経質な犬なので、飼い主は今まで口腔内の確認をしたことがなかった。

子犬の頃は人工哺乳で育てており、以前からくしゃみ鼻汁の症状はあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 症例2

ミニチュアダックス メス 5ヶ月齢 BW2.0Kg

当院で帝王切開で摘出した時点でかなり広範囲な二次性口蓋裂を確認しており、カテーテル哺乳により育てられた。

手術の時点での症状は軽度の鼻汁とくしゃみのみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 症例3

パグ メス 6ヶ月齢 BW1.9Kg

2ヶ月齢で来院時、口蓋裂ということでブリーダーが処分しようとしていたのをもらってきて育てているとのことであったが明らかな発育不良を認めた。

頭部の外観などで水頭症を思わせる外貌をしており成長が危ぶまれた。

5ヶ月齢の時点でBW1.2K。発咳・膿性鼻汁・開口呼吸を認め、手術時まで対症療法を行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

症例4

日本猫 去勢オス 4歳齢 

以前より慢性鼻炎あるいは副鼻腔蓄膿症として治療されていた。

軽度の二次性口蓋裂を発見し、鼻炎の原因と診断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

口蓋裂整復手術と同時に、12~14Frの食道カテーテル

を留置し流動食(Hill’s a/d)7日間強制給餌してもらうこととして翌日退院。

抗生物質の投与を行い、7日後に食道カテーテルは抜去。次の7日間は缶詰だけの食餌とし、術後14日目に麻酔下にて口腔内の確認と抜糸を行った。(症例4抜糸せず。)

 

口蓋裂の発生要因

l  遺伝

l  栄養

l  外環境因子(ウイルス感染、ステロイドや抗癌剤などの薬剤等)

l  内環境因子(貧血、酸素不足、循環障害、出産回数、子宮の外傷等)

 

口唇裂、口蓋裂の問題点

l  他の身体部位にいろいろな先天性異常を合併することが多い。

l  自力での哺乳が困難であるため人工的な授乳が必要

l  二次的に鼻炎、発咳、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症へ進行することが多い。

l  根本的な治療法は手術以外にない。 

 

今回行った組織弁オーバーラップ法による口蓋裂修復術を双茎弁スライド法と比較してみると、長所として比較的強固な固定が得られること、離開が少ないことが挙げられる。

 短所としては比較的煩雑であること、皮弁が粘膜上に載ってしまうと粘膜面同士が相対する結果になり離開の原因になってしまうことが挙げられる。

 今回の症例でも歯槽突起の部分で切開縁同士の縫合が困難で、2例で離開を認めたため再手術を必要とした。

 いずれにしろ大きな口蓋裂の欠損を完全に閉鎖するためには、複数回の手術が必要になるかもしれないことを飼い主に警告しておく必要があると思われる。

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