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症例集詳細
シクロスポリンが奏功した落葉状天疱瘡の犬の1例
症例
• 雑種犬 6歳 避妊済み 体重11.2Kg
• 半年前より顔に皮膚病があり他VETで治療していたが治らない。最近とくにひどくなってきた。かゆみが強い。
• 治療としてはCEX25mg/Kg bid、プレドニゾロン5mg/head bidの投与を受けている。
• 顔面だけでなく耳介、頚部、四肢端に潰瘍形成と痂皮形成を生じている。
各種検査所見
• 免疫介在性皮膚炎を疑い、各種検査を行った。
• 血液学的検査:WBC15800/μl、ALP930U/l以外とくに異常なし。
• 皮膚検査:スクラッチでダニは検出されず。スタンプでは球菌多数、好中球多数、好酸球中等度、マクロファージ少数、上皮細胞少数。培養検査では細菌発育せず。
皮膚のバイオプシー検査所見
• 鼻陵部、耳介、右膝の皮膚より1ヶ所ずつ材料を採取し、病理検査を行った。
• 診断:角層下嚢疱性皮膚炎、落葉状天疱瘡に一致する。
• 表皮の角層下と表皮内の不明瞭な嚢疱と痂皮形成が顕著でその一部は毛包にも及んでいる。痂皮内には棘融解性角化細胞と好中球、好酸球が混在して認められる。
治療経過
• 落葉状天疱瘡に対する治療を行うことにした。
• アザチオプリン 2mg/Kg sid
• プレドニゾロン1mg/Kg bid
• ENFX 5mg/Kg sid
• シメチジン 7.5mg/Kg bid
• 塩酸ホモクロルシクリジン1mg/Kg bid
• 上記の薬を2週間分処方し、経過を観察した。
(28日後)
• 投薬開始後4週間経過したところで来院。かゆみはほとんどなくなり良化傾向ではあるが、新しく痂皮剥離性皮膚炎の形成も見られる。
• プレドニゾロンの量を半分に減薬(0.5mg/Kg bid)、他の薬剤はそのままの量でさらに2週間経過を観察する。
(55日後)
前回の治療から10日間薬が切れている状態で来院。
• 顔面の皮膚の状態はほとんど変化なし。体幹部にも皮膚炎の症状が出始めている。尾にも脱毛病変。あまり良化している感じではなく投薬していなかったためやや悪化している状態。
• シクロスポリン5mg/Kg sid
• アザチオプリン2mg /Kg sid
• プレドニゾロン 0.5mg/Kg bid
• CEX 20mg/Kg bid
• シメチジン 7.5mg/Kg bid
• 上記の薬に処方を変更した。
(70日後)
• シクロスポリンの処方後著しい改善が見られた。
• 四肢、体幹部の病変は消失し、顔面も一部剥離した小痂皮を残すのみ。
• 治療は同じ処方でさらに2週間の投与を継続し、徐々に漸減しつつ維持量にて経過を見た。
落葉上天疱瘡について
• 落葉状天疱瘡は150KDの糖蛋白であるデスモグレイン1の表皮抗原に対して自己抗体が産生される疾患であり,臨床的特徴は原発疹としての丘疹と膿疱,続発疹としての痂皮形成(落屑)である.病変は顔と耳に限局することが多い.病理組織検査によって皮下識または上皮内の膿疱と棘細胞融解が見られれば診断可能である.
• 紅斑性天疱瘡は,落葉状天疱瘡が良好な形態に変化した疾患と考えられる.病変が頭部と頚に制限される.
• 尋常性天疱瘡は130KDの糖蛋白である表皮抗原に対して自己抗体が産生される疾患である. 通常中年以降に発生し,皮膚粘膜のびらん,潰瘍,短期間の小水疱または膿疱形成である.病理組織検査では,基底層下の亀裂であり,toomb stoneが見られる.
• 落葉状天疱瘡に対する治療に関しては導入と維持に分けて考慮されるべきであり、導入においては下記の薬用量が推奨されている。
- プレドニゾロン:1.1~2.2mg/Kg/day 2分割
細胞傷害薬
アザチオプリン:2.2mg/Kg/day q24hrs
クロラムブシル:0.2mg/Kg/day q24hrs
サイクロフォスファミド:50mg/m2 q48hrs
シクロスポリン:15~27mg/Kg q24hrs
- その他の治療
金製剤:オーロチオグルコース1mg/BW25Kg以下、または5mg/BW25Kg以上
ジアフェニルスルホン(レクチゾール):1mg/Kg q8hrs など
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