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症例集詳細
腫瘍摘出後に皮膚移植を行った犬の1例
症例
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雑種犬、避妊♀、13歳
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2年前より左前肢の手根球の部位に腫瘤があり、最近拡大してきたとのことで来院。
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大きさは3.8×1.5㎝
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体表リンパ節に腫脹は認められない。
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細胞診では卵円形の核を有する細胞塊が採取され、核の大小不同顕著で核仁明瞭であり、何らかの非上皮系悪性腫瘍が疑われた。
経過
オーナーには、悪性腫瘍の可能性が高いこと、摘出には広範囲な切除が必要であるが位置的に十分なマージンが取れないため断脚が勧められることを説明した。
オーナーとしては高齢であること、断脚はQOLの点から容認できないことの2点で手術の同意は得られなかった。
さらに2か月が経過し、腫瘍の表面が擦過により出血が見られたため再度来院。
術式について相談を受け、不十分でもいいので断脚しない摘出を要望された。
大きなマージンが取れないので周囲マージンを5㎜とって摘出。深部は腱に固着していたため一部腱ごと切除。 →直接縫合できない
方針の選択
1. ある程度縮小させて開放にて二期癒合を期待。
2. 生着は期待薄だが皮膚移植を行い、ある程度縮小させる、あるいは肉芽が形成されたのち再度皮膚縫合を行う。→これを選択
3.皮膚弁形成して縫合。
術後管理
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基本的に通院で処置。
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エリザベスカラーで舐めるのを防ぐ。
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自宅では患部には何も行わない。
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3~5日に一回程度患部を確認。
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生理食塩水で洗浄後、ティーツリー軟膏・メロリン・ソフトバンデージで患部を保護して消毒は行わない。
病理検査結果:未分化肉腫
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欠損した皮膚を修復する方法としては、転位皮弁やメッシュ法などが行われることが多い。ただし悪性腫瘍摘出の場合は万が一腫瘍の取り残しがあると、剥離した皮下織全体に腫瘍細胞の浸潤が生じ、再発した腫瘍が術前以上に拡大する危険がある。
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今回の腫瘍は腱鞘や滑膜由来とも考えられる未分化肉腫であり、本来ならば断脚がセオリーであるかもしれない。悪性度の高い腫瘍であり再発の危険があるが、再発するまでの時間はQOLが保たれ、また術前に存在していた患肢の痛みがが術後に改善し、オーナーにも高い満足度が得られたのは幸いであった。その後も再発は確認されていない。
こうべどうぶつクリニック
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