- 病気の話一覧
- 病気の話詳細
病気の話詳細
肥満について(2006.10月号)
これからの季節はなんと言っても食欲の秋。夏バテ気味だった身体もおいしいものを食べて一気に体力回復。でも気をつけなければいけないのが食べすぎ、肥りすぎ。動物の世界でも肥りすぎちゃった子がよく見られますね。今回は肥満について書いてみました。
肥満のタイプ
肥満体型を示している場合、単純に肥っているだけの場合と病的な場合があるので注意しましょう。病的な肥満のことを症候性肥満といい、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、糖尿病、インスリノーマ(膵臓腫瘍)などがあります。他に薬物性肥満としてステロイド剤や避妊目的のホルモン剤などの使用による肥満があります。
肥満による合併症
肥満によって引き起こされる可能性のある合併症には次のようなものがあります。
循環器:高血圧、心機能障害
呼吸器:換気障害、気管圧迫
運動器:十字靭帯断裂、骨関節症、運動能力低下
皮膚:蕁麻疹、感染症
内分泌:糖尿病、繁殖障害
代謝性疾患:脂肪肝、肝障害、膵炎
免疫:抵抗力の低下、易感染性
手術:麻酔量増加、覚醒遅延、創傷治癒遅延
給与量の決定
あなたのペットが一日に必要なエネルギーの必要量を計算してみましょう。
安静時エネルギー必要Kcal(RER):30×(体重Kg)+70 または 70×(体重Kg)の0.75乗
一日のエネルギー必要Kcal:係数×RER
成長期
離乳から生後4ヶ月齢まで:3×RER
4ヶ月齢から成犬サイズまで:2×RER
成犬 未避妊・未去勢の若い成犬:1.8×RER
避妊・去勢犬:1.6×RER
肥満傾向の犬:1.4×RER
減量の必要な犬:1.0×RER
(例)体重12Kgの肥満犬で減量が必要な場合:
(30×12+70)×1.0(係数)=430Kcal/一日に必要なカロリー
フードの給与量(g):430Kcal÷(フードの1g当たりのカロリー量)
例えば310Kcal/100gのフードであれば430÷3.1=138.7gが一日の給与量になります。ただしこれはあくまでも概算であり飼育環境、運動量、肥満度などによっても調整が必要になります。
ペットフードの種類と選択
あなたの犬が減量を指示された場合、特別な減量用フードに切り替えるよりも今まで食べているお気に入りのフードの給餌量を減らすことを考えることが多いのではないかと思います。しかし、給餌量を減らすと消化吸収効率を返って高めることになり含有量の高い脂肪は効率的に脂肪組織に転換されます。また、給餌量の減少はカロリーだけでなく同時に必要な脂肪酸、アミノ酸、ビタミン類なども制限することになり、栄養学的なバランスの不均衡が生じる危険があります。そのため、減量用の特別療法食を通常量投与する方法が食事性エネルギーを制限する代表的な方法です。低脂肪高繊維食が一般的に使用されます。
肥満治療の失敗の原因
肥満の原因が単純なエネルギーの過剰摂取であり、治療はエネルギー制限だけで済むのならば治療は必ず成功するはずです。しかし、実際は減量が失敗することがあります。小型犬の場合、数十g程度の食事やおやつが体重の1%(60Kgの人間であれば600gの食事に相当する)を左右することを充分に認識することが必要です。でも、つぶらな瞳で「おなかが減ったの。ご飯ちょうだいな。」と訴えられた場合、それに耐えられる人はあまり多くはないんじゃないかなぁ。
減量に挑戦!
もし、あなたの飼っているペットが心臓、呼吸器、関節疾患などを患っているようであればことは急を要します。おやつをいっぱいあげることが果たしてその子を喜ばせているのかそれとも苦しめているのか考えてみましょう。我々スタッフに相談してください。適切な減量メニューを考えましょう。とは言っても自分が肥っていては説得力がないですよね。そのため院長自ら7Kgの減量をしました。一緒に減量に挑戦してみましょう。
こうべどうぶつクリニック
TEL 0566-27-2211|
FAX 0566-27-2273
【予約専用番号】TEL 0566-27-0101
-
予約時間
電話予約
8:45~11:30/15:45~18:30
祝 日9:45~11:30/14:45~16:30
電話予約は診察開始時間の15分前~終了30分前まで
WEB予約
8:30~11:30/15:30~18:30
祝 日9:30~11:30/14:30~16:30
WEB予約は診察開始時間の30分前~終了30分前まで