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病気の話詳細
猫の下部尿路疾患(2007.1月号)
今回は、これから寒くなると増加する猫のおしっこの病気についてお話しましょう。
最近うちの猫ったらトイレにばかり入っている、おしっこしたはずなのにトイレが汚れてない、おしっこが少し赤いみたい、なんてことがあったら御用心。そのうちおしっこが出なくなって放っておくと命を落とすことにもなりかねません。
発症しやすい猫
去勢していてとても太っている。
不活発でよく寝ている。
あまり水を飲まない。でもドライフードはよく食べる。
原材料が魚のドライフードを常食にしている。
食餌は置き餌にしていて自由採食。
症状
猫の下部尿路疾患は、膀胱の中で結晶化したミネラル分が膀胱を傷つけたり、尿道をふさいでしまったりすることによって起こります。症状は軽度から重度までさまざまですが、排尿回数の増加、排尿時間の延長、少量ずつの排尿、性器をよく舐める、トイレではないところで排尿する、排尿中にいきんだり痛そうに声を出す、血尿が出る、尿の中にきらきらした結晶が出るなどです。そしてひどくなるとまったく尿が出なくなり元気食欲もなくなって尿毒症に陥ると嘔吐、脱水、昏睡そして死に至ります。
原因
猫は砂漠型動物と言われ、乾燥に強く水をあまり飲まなくても生きていくことができます。それは非常に優秀な腎臓の尿濃縮能力のおかげなのですが、逆にそれがアダになり高濃度の尿の中に含まれるミネラル成分が結晶になりやすいのです。特に長時間排尿をしないでいると、膀胱内で結晶化した砂状の尿石が膀胱を傷つけて膀胱炎を起こしたり、炎症による分泌物や剥離した粘膜細胞などが結晶と混ざり合って排尿時に尿道に詰まってしまい尿道閉塞を引き起こすことになるのです。
治療
たいてい1~2日おしっこが出なくなって膀胱がパンパンな状態で来院されることが多く、その場合には一刻も早く閉塞した尿道を再疎通させてあげる必要があります。尿道内にカテーテルを挿入して液体を注入し、膀胱内に閉塞した栓子を逆行性に押し戻したり、カテーテルも入らないような場合には超音波装置で尿道内の結石を粉砕したりしてカテーテルを膀胱内まで挿入して貯留した尿を吸引排泄します。尿道が傷ついて腫れていたり、炎症が強い場合にはカテーテルを抜くとすぐに排尿困難となる場合が多いので、場合により短期間の入院が必要になることもあります。膀胱内に結晶ではなく結石が存在することもあり、この場合には外科的に結石を摘出する必要があります。状態に応じて点滴、抗生物質の投与、尿石溶解剤の投与などを行います。
予防
この病気の元になる結晶はリン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)を主成分としていることが多く、そのため予防には低リン、低マグネシウムの食餌を与えることが必要です。魚肉には多くのマグネシウムが含まれているため魚系のドライフードは好ましくありません。また、肉食獣である猫はもともと酸性尿ですが、野菜などを多く摂取するとアルカリ性の尿が産生され、ミネラルが結晶化しやすくなります。また置き餌も、過剰な摂食や胃への酸排出による尿のアルカリ化を引き起こします。トイレを我慢することも膀胱内に尿が貯留する時間が長くなり、結晶化する確率が高くなります。予防に関して飼い主さんができることをまとめてみましょう。
· 食餌を低リン、低マグネシウム食にする。
· 置き餌にせず、決められた時間に食事を与える。
· 飲み水はいつも清潔なものと交換し、複数個所に置く。
· トイレをいつも清潔にする。
これから寒くなるにつれこの病気は多くなります。それは、暖かい部屋から出て寒いトイレに行くのを我慢したり、寒いので外出する機会と運動量が減るために飲水量が減少し、尿が高濃度になることによります。猫がトイレに入ったら注意深く観察してみましょうね。
こうべどうぶつクリニック
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