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病気の話詳細
歯周病について
いつも通り僕たちの帰りを迎えてくれるワンちゃん。挨拶の代わりに僕らの顔をペロペロ…こんなときワンちゃんの口臭が気になった経験はありませんか?それは歯に歯垢・歯石が付着して口腔内環境が悪くなっているサインです。今回は犬の歯周病についてお話します。
<歯周病とは>
口腔内には無数の細菌が存在しています。これらの細菌が唾液や食餌の食べカスと混ざり合って、歯の表面に付着したものが歯垢です。歯垢は細菌の塊で、歯垢1ミリグラム中におよそ1000万の細菌が存在するとされています。この歯垢が炎症の原因となり、歯周病が発生するのです。犬では一般的に蝕歯(いわゆる虫歯)よりも歯周病が多く発生します。歯周病は、歯肉や歯周靱帯、歯槽骨といった歯を支える組織が炎症によって破壊されるため、重度なものでは歯を喪失してしまいます(図1)。
<歯周病の症状>
・口臭
・口腔内の腫れや痛みによる食欲低下
・顔(特に目の下)の腫れ(図2)・排膿
・鼻汁やくしゃみなどの鼻炎様症状
・病的顎骨折
<歯周病の治療>
○歯石スケーリング・抜歯
歯周病の根治的治療です。歯周病の重症度によっては、たくさんの歯を同時に抜かなければならない場合もあります。抜歯後の欠損が大きい場合は、歯肉を縫合して抜歯窩を塞ぎます。(図3.1~3.3)
歯科処置のデメリットとしては、見た目上のトラブル(抜歯をした側から舌がはみ出てしまうなど)と全身麻酔下でしか処置ができないことです。特に重度歯周病の個体は高齢であることが多いので、処置をするにあたって術前検査を実施し、麻酔リスクを評価してから処置に臨む必要があります。
○抗生物質の投与
歯周病に対して選択される内科的治療です。これによって口臭や顔の腫れが改善することがありますが、あくまでも一時的な治療であり、薬をやめてしまうと再発する可能性が高いので、腫れが退いていても歯石スケーリングや抜歯の実施が理想的です。
抜歯についてのQ&A
Q.1 歯肉を縫ったら、抜糸は必要ですか?
A.1 縫合には吸収糸(自然に溶ける糸)を使用するので、抜糸は必要ありません。
Q.2 たくさんの歯を抜いてもドライフードは食べられますか?
A.2 縫合部裂開防止のため、処置後しばらくは柔らかい食餌を与える必要がありますが、創が落ち着けばほとんど歯が残っていなくてもまたドライフードを食べられるようになるケースが多いです。これはもともと犬があまり食べ物をよく噛まない動物だからです。
<歯周病の予防>
重度歯周病に陥ると、歯を残すことが困難になります。そのため、歯周病では予防が重要なポイントになってきます。歯周病の予防で最も効果的なのは、歯垢除去のため定期的に歯磨きをすることです。
・歯磨きの頻度
ある実験では、健康な歯肉を維持するために最低でも週3回のブラッシングが必要であると報告されていますが、毎食後こまめにやれるならもちろんそれに越したことはありません。一度スケーリングをしてきれいに歯石を除去しても、日常のケアとして歯磨きが出来ないとすぐに元の状態に戻ってしまいますので、がんばって歯磨きを習慣づけましょう。
・歯磨きの方法
歯磨きで最も有効なのは歯ブラシを使う方法です。ワンちゃんが歯ブラシを嫌うようであれば、ガーゼを巻いた指や綿棒で歯間・歯肉縁を磨くのも効果的でしょう。味のついた歯磨き粉を利用して慣れさせるのもいいかもしれません。
どうしても歯磨きが苦手な子は、歯磨きガムを噛ませることで若干の歯石付着防止効果が期待できます。ただし、おもちゃや牛の蹄など硬すぎるものを噛ませると、歯が欠けてしまうことがあるので注意が必要です。
中高齢になって新たに歯磨きを始めるのはなかなか難しいものです。幼いころから少しずつ歯磨きを練習し、習慣づけておきましょう。
動物は日常生活の中で常に歯周病発生のリスクにさらされています。お口が痛くて食べられない、口臭のせいでせっかくの可愛いさが半減…そうなる前にしっかり歯磨きをして、歯周病予防を心がけましょう。また現段階で既に歯周病が存在する場合は、さらに進行する前に適切な歯科処置の実施をおすすめします。詳しくは獣医師にご相談ください。
こうべどうぶつクリニック
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