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膝蓋骨脱臼について

2015.04.14

後ろ肢を痛がって挙げている、スキップをしている…。そんな場合は膝の関節にある膝蓋骨が脱臼している可能性があります。ワンちゃんの後肢破行の原因として膝蓋骨の脱臼はよく観察される病態です。膝蓋骨脱臼を起こす背景には生活環境が大きく関与しています。今回は膝蓋骨脱臼についてお話ししましょう。

病態
膝の関節の伸展機構は、大腿四頭筋群、膝蓋骨、滑車溝、膝蓋靭帯、脛骨粗面により構成されています。これらの構成要素の構造的異常または不正配列が起こった場合に膝蓋骨の脱臼が引き起こされます。膝蓋骨脱臼は先天性、後天性に起こり、脱臼の方向には、内方、外方、近位方向があります。内方脱臼はポメラニアン、トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、マルチーズ、チワワといった小型犬に多く、外方脱臼はゴールデン・レトリーバー、グレート・ピレニーズといった大型犬に多いとされます。脱臼の程度は次のように分類されます。

グレード分類 (Singletonの分類)
グレードⅠ:膝蓋骨は手で押すと脱臼するが、手を離せば正常位に戻る。
グレードⅡ:膝蓋骨は膝を屈曲するか手で押せば脱臼し、膝を伸展する
 か手で押せば整復する。
グレードⅢ:膝蓋骨は常時脱臼したままで、手で押せば整復、手を離せば再脱臼する。
グレードⅣ:膝蓋骨は常時脱臼し、手で押しても整復されない。

膝蓋骨内方脱臼と同時によく認められるのが前十字靱帯の断裂です。膝関節の伸展機構の内方変位により脛骨が内方へ回転し、前十字靱帯に負荷がかかることにより断裂を誘発します。

診断
診断は歩様状態の観察、触診およびレントゲン撮影により行います。触診によりグレード分類や前十字靱帯の断裂の有無を確認します。レントゲン検査では膝蓋骨の脱臼方向、大腿骨、脛骨の変形の程度および関節の変性性変化を評価します。以上の検査から膝蓋骨脱臼の診断と程度、病態の把握を行います。

治療
臨床症状を伴わない軽度のグレードの場合では、生活環境の改善や肥満体型の防止、関節サプリメントの服用を薦めます。若齢の患者、グレードが軽度であっても症状を伴う場合、グレードの高い場合、前十字靱帯の断裂を併発している場合には外科的手術が必要となります。外科的手術は骨組織の再建術、軟部組織の再建術の二種類に大きく分けられ、滑車溝形成術脛骨粗面転移術矯正骨切り術内側大腿膝蓋筋膜の開放外側大腿膝蓋筋膜の強化などといった様々な方法があります。動物により、脱臼の程度や罹患膝関節に存在する異常は異なっており、それぞれの病態を把握した上で適切な手術方法をとっていきます。

滑車溝形成滑車溝形成終了

術前レントゲン所見術後レントゲン所見

予防
特に小型犬の膝関節は解剖学的に膝蓋骨脱臼を起こしやすい形態であり、フローリングのような滑りやすい床での生活は脱臼を起こす危険性があります。また肥満体型は四肢にかかる負担が高く、膝蓋骨の脱臼を招きます。フローリング床にはカーペットを敷くなど滑りにくい環境を整え、またペットの適切な体重管理を務めるようにしましょう。

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